パリ五輪ランドマーク

―パリの空に輝く板状の雲―
パリという歴史都市における21世紀のオリンピックの為のモニュメントとして量塊としての構築物はふさわしくないと考えた。かけがえのない地球と積み上げられた人類の歴史をオリンピックの精神に重ね合わせ、形象としての記念碑ではなく、与えられた敷地の存在そのものを象徴する方法を模索した。与えられた敷地は19世紀半ばパリ近代化が本格的に始まったエリアに属している。サンラザール駅周辺は歴史都市から近代都市へと移行したパリの象徴的な場である。パリの近代化の起点となった敷地周辺の発展は、世界が拡大し多様化し発展することを約束した万博とりわけパリにおける5度の万博そして、近代オリンピックの始まりの歴史的時間とも合致する。敷地の持つ意味とその空間性を表徴化することこそパリという都市における21世紀のオリンピックのモニュメントとしてふさわしいと考える。
敷地の形状を切り取り、与えられた可能な高さ28m近くまで薄い網目状の水平面の板(板状の雲)として細い列柱群によって浮かし、地表面はわずかにえぐりとられ、その表面にセーヌ川の白い砂をうめることで、敷地の領域をきっぱりと表現した。どこにも存在しなかった空間と領域の質を表象することで地球の上のかけがえのない土地の意味を表出することとなる。同時にここに表出された空間と領域は地球上のあらゆる場における空間と領域に呼応する。ここに生まれる「空間」は人類の平和と協調を目指すオリンピックの精神を今日の地球環境の重要性を見つめる意識と重ね合わせ表現する手段となる。
「板状の雲」、「極細の列柱群」、「白い砂地」がつくり出す空間には繊細な光と影のリズムが生まれる。「板状の雲」の下、列柱の間の砂を踏みしめながら進むときに空間の記憶は焼き付けられ、21世紀パリオリンピックの「知覚」の記憶となる。
Olympic Landmark Paris (international open competition proposal)
– a plateau of clouds –
Type
Landmark for the Olympic
Location
Paris, France
Competition Organizer
The Paris Ile de France 2012 bid committee
Status
2004 international open competition
Total Floor Area
2483sqm
Structure
Steel
Architecture Design
Noriaki Okabe Architecture Network
Collaborators
Van Structural Design (structure)
Taiyo Nagano (graphic)
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