レバノン芸術文化の家

― マジックキューブ ―
戦渦による都市・ベイルートの破壊は様々な都市施設、建築におよんだが文化施設も例外ではない。多く失われているベイルートの文化施設をできるかぎり集約し、再生していくことを目指して本施設が計画された。限られた敷地面積、敷地の開発条件とプログラムの多様さは大変厳しいものである。これらの条件に明確な解答を与えるとともにベイルートの輝く過去につながる質と未来に向けた独創的な空間と建築の表現を求めた。地中海の象徴ともいえる透明感あふれる自然光をとりいれた内部空間をひとつの核として、コンパクトで高密度な複合的建築を提案した。強いアブストラクトな象徴性と可能な建設ボリュームを最大限に利用するために、簡潔な立方体のヴォリュームとして計画した。南ファサードはモノリシックな黒い壁として立ちあがり、その壁から、水平に各文化施設群が北側へと伸び、施設のヴォリュームが多層にわたる直方体群として突出する。南の黒壁はベイルートの過去をうけとめ、北のダイナミックなファサードは未来への展開を象徴する。内部においては東、西、北ファサード、トップライトから自然光が導入され、伝統的なスークの中に落ちる光の輝きに満ちたマジカルな空間を巨大化し、演出化し、立体化した新たな内部空間が生まれる。抽象的立方体とダイナミックな水平にのびる直方体のヴォリューム群により、今後開発されていく多くの超高層ビルの垂直な都市景観にたしかなテンションを与えることで、ベイルートの未来へのポテンシャルを喚起する。
House of Arts & Culture, Beirut, Lebanon (international open competition proposal)
– Magic Cube –
Type
Theater, Museum
Location
Beirut, Lebanon
Competition Organizer
Ministry of Culture, Republic of Lebanon
Status
2008 international open competition
Total Floor Area
16,600sqm
Structure
Steel & Reinforced Concrete, 3 Basement + 7 Stories
Design
Noriaki Okabe Architecture Network
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